夢見る少女は名乗れない

ただのおたく・エビハラの日常とか漫画の感想とか

〈1〉なぜ人は休日の予定を知りたがるのか問題

 そろそろ危機感を覚えて、年明けにアカウントを取得した婚活アプリに、半年ぶりぐらいにログインした。


 今年新卒で入ってきた部署の女の子がやっているのを見て焦ったのが理由だが、それはその子がやっているから焦るというよりも、その子がいじられているのを見て焦ったのだ。

 

 たとえばの話、私は自分のデブネタを上手く扱うのが苦手だし、周りもモノホンのデブだと分かっているから全くいじってこない。でも、ちょっと痩せてる人が食べ終わったあとにぽっこりお腹が出ていたりすると、ここぞとばかりにいじったりする。それは、その子が本当はお腹が出ていないことを知っているからに他ならないし、違うからこそ安心して話題に出せるのだろう。人間、ひとが傷つくようなことは言ってはいけない

 

 だから私はぽっこりお腹をいじられたことも、「そろそろ焦んなよ~」「ほら登録しなって~」などともいじられないわけだけれど、そんな無言の圧力に乙女心を痛めている昨今です。いや、まあ正直言われても傷つくんだけど。できれば真綿くるんで一切傷つかないように割れ物包装ぐらいしてほしい。

 

 それはさておき、婚活アプリだ。

 

 

 久しぶりにログインしたのでどうしたもんかなと思ったのだけど、神は私を見捨てなかった!けっこういいねがある!とりあえず全部返しておく。あれ。このいいね半年前だな。まあいいか。メッセージ付きのものも、気になるもの(そして比較的最近のもの)には返事をしておく。

 

 で、まあここまではいいとして……。

 

 私、常々不思議に思っていたのだが。なぜ人は、だいたい一発目の質問を「休日とかって何してるんですか~?」から始めるんだろう?

 

 これは別に婚活アプリに限った事じゃなく、わりと初対面あるあるだと思うのだけど、マジで謎。

 

 えっ。だってそんなの聞きたいの?休日だよ?

 休んでるに決まってるんじゃ………ないですかね………???

 

 会社で夏休みとか連休に被せて休みを取った時にも「あれ、どっか行くの?」などと聞かれるけれど、これも謎。えっ……休みたいだけですけど……いや夏休み好きなタイミングで取っていいって言ってたじゃん……。

 

 別に、休んでるに決まってんだろ!!察しろよ!!!なんてことを言いたいわけじゃない。私はもうクーラーの効いた部屋でゴロゴロ休んでたいし、連休が決まれば漫画と本と食料を買いまくり部屋に籠城する方が落ち着く。旅行も嫌いじゃないけど、何度か一人旅してみて旅行は誰かと一緒のが楽しいなって結論に達したから、不意の休みに旅行しようって気にもならないんだよな~。一人で楽しめることをしたいと思ったらそりゃ部屋ゴロ寝のマンガ祭りになるよね、っていう…。

 

 で、じゃあ何が言いたいかっつーーと。

 この質問ってすごく強制力を感じるのよね。

 なんかこう、

 

 休日?あ~ね、まあ映画観たりとか~ライブ行ったりとか~あとアートとか好きだから~美術館とか~けっこう行っちゃう~あ~ミュシャ展最高だった~また行きた~い日本来ないかな~

 

 …みたいな……××年生きててそうやって過ごした休日どんぐらいあんの????っていう見栄を思わず張ってしまう強制力をさあ!?感じない!!?私はめちゃめちゃ感じるよ!!舞台なんて2.5次元のイケメン大勢出てるやつしかほとんど見たことないのに観劇も趣味に挙げるしその時に具体例を聞かれたら「佐々木蔵之介のRENTとか~あと高畑充希ちゃんとかが出てたわたしは真悟観たけどめっちゃよかったよ~?><」と答えるという一般向けの模範回答だって用意してんだよ!!!いやでもRENTはそんなに一般向けじゃないかな?ゲイの話だったし…。

 

 私は世にいうオタクという存在なのだけれど、幸いながら今までオタクだからといって排除されたこともないし、そんなに隠して生きてるつもりはない。から、息苦しさは感じない。だから、こういう時にものすごく息苦しさを感じるのだ。休日の予定は?とか聞かれて今流行りの映画観ようかな~って(照)なんて答えた挙句土日を寝倒して、翌週感想を聞かれた時のためにグーグルで感想をググったり。ふんふん。なるほど菅田くんがサイコーだったとな。メモメモ。みたいな。

 

 なんだろう。確かに私は見栄っ張りだから不自然ではないのだけど、この質問はどんな人に投げ掛けても、つい見栄を張らせる強制力みたいなものがある気がするんだよな。もちろん会話のきっかけにしたいのもわかるんだけど、これで見栄を張らずに「家でゴロゴロしてます」って答えたらいったいどうするつもりなんだろう?会話終わっちゃうんじゃないか?

 

「休日は何してるんですか?」

「家でゴロゴロしてます」

「へえ!いいですね♪うつ伏せ派ですか?仰向け派ですか?」

「基本は仰向け派なんですけど~、前に道重さゆみが翌日に仕事がない日は(顔むくんでも大丈夫だから)うつ伏せ寝してるっていうのインタビューで見てから、私もうつ伏せ寝にしてます~」

「うわ~休日の贅沢~!いいな~!僕はやっぱり仰向け派ですね」

「仰向けもいいですよね~思う存分ぼうっとできるというか」

「そうなんですよ~!気が付いたら夕方とかザラですもんね~!」

「仰向けって漫画や小説読む時に手が疲れるのだけがネックですよねえ」

「でもほら、最近は便利なグッズも出てますからね」

「怠惰に優しい世の中になって素晴らしいですねえ」

 

 意外と話が続いてしまった。自分を偽らなくてもどうにかなるのかもしれない。